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病院における統合仮想基盤および仮想デスクトップの採用 (1/3)

2018/04/12

仮想化技術はエンタープライズの分野では当たり前の技術で、金融や製造といったミッションクリティカル環境においても採用されている技術ですが、病院においても近年、従来一般的であった物理サーバによる医療システムの状況から、現在は仮想化技術を採用し、仮想基盤上で電子カルテシステムや部門システム、仮想デスクトップを利用した電子カルテ端末を稼動する病院が増えてきました。

その背景にあるのは、病院における仮想化採用事例の増加や、電子カルテの導入によるコスト増への対策、院内ITシステム全体を少人数で運用していることによる管理負荷の増大、医師が院外から電子カルテシステムに接続することによる緊急対応、医師や技師自身の働き方改革、地域医療連携として外部の診療所から患者データの参照といった、病院の環境や時代の変化によるものと思われます。
これから仮想化の検討を始めたいと思っている方々も多いと思いますが、「仮想化がよくわからないのに不安」「何から検討していいかわからない」等の不安を聞くことが多いため、改めて各種サーバ環境の仮想化やデスクトップ仮想化についてメリットや導入の課題について紹介します。

医療システムのサーバ仮想化技術とは

電子カルテシステムや部門システムにおけるサーバ環境の仮想化技術について紹介します。 従来は、1台の物理サーバにOS、アプリケーションをインストールし1:1で電子カルテシステムや部門システムを稼動させていました。そのため、システムごとに物理サーバが必要となり、結果サーバ数の増加、ラック数の増加、設置場所の拡大といった課題が出てきました。 仮想化技術は、ハイパーバイザーと呼ばれるOSが物理サーバのリソースを制御することで、1台の物理サーバ上で複数の部門システムサーバを同時に稼動させることができます。

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サーバ仮想化を行うことによってさまざまなメリットを得ることができます。
最もわかりやすいのは仮想化による物理サーバ台数削減によるメリットです。例えば10台の物理サーバが1台の物理サーバに集約できた場合、ハードウェア費用や保守費用、電気代の大幅な削減を行うことができます。また、年々増加する物理サーバやストレージにより院内のサーバルームでは十分なラックスペースが確保できないことがありますがこの問題も仮想化により解消することができます。

リプレースコストの削減を行うこともできます。これまで電子カルテシステムや部門システムは、物理サーバの保守切れと併せてリプレースを行う必要がありました。しかし、電子カルテシステムや部門システム、さらにはその上で保存されるデータは物理サーバのリプレースと関係なく使い続ける事が可能なはずです。従来の方式は、物理サーバ、OS、アプリケーション、データのライフサイクルの違いに対応する事ができなかったのに対し、仮想化の機能によりシステムを停止せずに別の物理サーバに移動する機能を利用することで、ハードウェアの保守切れに伴うリプレースに囚われないIT環境の構築が可能となります。病院ではアプリケーションのリプレースコストが非常に大きいため、物理サーバとライフサイクルを分けてアプリケーションのリプレースを遅らせることで長期的にみると大きなコストメリットを得ることができます。

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さらに、仮想化の機能であるVMware vSphere® vMotion®を利用して、部門システムを異なる物理サーバにシステム停止無しで移動することができ、vSphere HA (VMware vSphere® High Availability)により物理サーバの障害発生時には部門システムを別の物理サーバで再起動させることができます。つまり、これまで部門システムが冗長化されていなかったとすれば、仮想化することで簡単に冗長化構成(クラスタ構成)をとる事ができます。また、冗長化構成が組まれていたシステムであっても、スタンバイの物理サーバを無駄にしているケースが散見されます。仮想化の機能で冗長化構成を組む事で、このような無駄も排除する事が可能となります。
また、仮想された環境でよくある問題として、1台の仮想マシンが過剰な負荷がかかった場合、同じ物理サーバ上の他の仮想マシンに影響を与えてしまうことがあります。このような問題に対応する方法としてvSphere DRS (VMware vSphere® Distributed Resource Scheduler™)を利用して、自動的にリソースの空きがある他の物理サーバへ移動させることによりすべての物理サーバのCPUやメモリ使用率を一定に保つことが可能です。システムの停止やパフォーマンスダウンが致命的な問題になる病院システムにおいては、これらの仮想化機能は必須の機能といえます。

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電子カルテシステムや部門システムのサーバを仮想化しただけではサーバの導入は簡単になりますが、それに伴うネットワーク設定は今まで通り必要です。ネットワークの軽微な変更だったとしても、そのたびに作業費が発生してしまっていることがほとんどです。そこで近年はサーバの仮想化と同時にネットワークも仮想化も導入されるケースが増えてきました。ネットワーク仮想化の仕組みは、今まで物理のネットワーク機器として導入していたロードバランサーやVPN、ファイアウォール、ルータといった機器をサーバ仮想化環境と同じくハイパーバイザー上に仮想マシンとして動作させることができます。これによりサーバ仮想化と同じメリットがネットワーク機器でも得られるようになります。病院では電子カルテや部門システムの冗長構成のためにロードバランサーを導入していたり、部門システム導入ベンダの保守回線としてVPNを導入していたりと、ネットワーク機器が導入されていますが、これらすべてをサーバ仮想化環境と同じように物理サーバだけで実現することができます。

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また、ネットワーク仮想化によりネットワークの通信フローも効率化されます。今まで同じ物理サーバで動作しているネットワークセグメントが異なる仮想マシン間で通信する場合も一度上位のネットワーク機器(L3スイッチ等)でルーティングされ、また同じ物理サーバに戻ってきていました。ネットワーク仮想化ソリューションであるVMware NSX®の環境であればハイパーバイザー層でルーティング処理を行うことができるため、ネットワークセグメントが異なる仮想マシン間の通信であったとしても、上位のネットワーク機器で通信することなくサーバ内でネットワーク通信を行うことができます。これにより物理ネットワークに負荷をかけない効率的な通信環境を実現し、上位のネットワーク機器のルーティング処理を最小限に抑えることができるため、処理能力を抑えたネットワーク機器の導入が可能となり、ネットワーク機器への投資を抑えることができます。

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また、近年ストレージを持たないハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)という仮想化基盤が注目されています。VMwareでもVMware vSAN™という仮想化ストレージソフトウェアを利用してHCI構成にすることができます。HCI構成では従来のサーバとストレージが必要な構成ではなく、ストレージを削減し、サーバの内蔵ディスクを束ねて大きなストレージとして扱うことができます。VMwareのHCIの特徴は複数社のサーバハードウェアを選択できること、ストレージ管理のための仮想マシンは必要とせずハイパーバイザーで動作すること、単一障害点がなくなる(ストレージ構成の場合は筐体自体の障害の可能性がある)ことです。すでに病院への導入実績もあり今後の導入がますます増えてくることが予想されます。

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